2013年6月19日水曜日

隠蔽体質句会・作者発表

早々と発表です。

あぢさゐの路地を隠してゐたりけり  朝比古   独亜
熱帯魚なにかを遮蔽して泳ぐ     朝比古   直由
朝曇り体育座りの膝小僧       朝比古  
涼やかに戦ぐ質屋の暖簾かな     朝比古   不亜
キャッチャーのなり手がゐない朝曇  朝比古   露海独由亜

人妻よ蛇を隠してゐたるとふ     露結    海独幹
放射線遮蔽シートの草いきれ     露結    不直
サイダーを人の体に注ぎけり     露結    海四
「質」の字のピンクのネオン夏の月  露結    海朝
意味だけが微妙にずれてゆく梅雨入  露結    直

たとふれば隠居の体やごみ鯰     海太  
昼寝覚脳(なづき)を蔽ふもの一枚  海太  
名は体か百足の誤差を数へたる    海太  
うすうすと茂りの奥に質屋かな    海太    あ
蜘蛛の囲を避け蜘蛛の囲の人となる  海太    露由亜

隠れ咲くどくだみの香に酔ひにけり  直子  
町蔽ふ陰謀の影蚯蚓出づ       直子    露
山蛭を拒む体となりにけり      直子  
夕膳は粘着質のひき蛙        直子  
からつぽの脳に沁み入るかき氷    直子    あ
定年や屁糞葛の花盛り        直子    幹由亜

薔薇でなく紫陽花隠れ家レストラン  不孤    露海由
ハンカチや証人席を遮蔽して     不孤    あ由
体面の汚されてゆく夏の浜      不孤    独幹直四
職質を受けやすき路地梅雨の月    不孤    独直由
滝飛沫立ててソリティア上りけり   不孤    あ

父母に隠れて紅き水中花       独楽    露あ直四
日盛や遮蔽物無きパントマイム    独楽    不海幹亜
体裁も無く浮いてこい浮いてこい   独楽    不朝幹由
明易し蛋白質のひと欠片       独楽    不直四
ゴジラの顔で冷酒を呑んでゐる    独楽    不幹あ亜四

隠り世の道を知るなり杜若      藤幹子  
遮蔽無く水駆け上がる河鵜かな    藤幹子  
鹿の子百合仏の多く半裸体      藤幹子   露あ
薔薇園は腺病質の子どもなり     藤幹子   あ直
橋涼し光の網をほどけずに      藤幹子   独あ

隠し立てすることのなき蛍の夜    亜紀    独朝直
蜘蛛の囲や建蔽率のぎりぎりに    亜紀    海独朝由四
熱帯夜ソファに伸されゆく身体    亜紀  
上質なビールの泡を一息に      亜紀    海朝四
質問を繰り出してゐる浜日傘     亜紀    朝由
香水や四面楚歌なるエレベーター   亜紀    直
白南風のすぐに寝落ちる車窓かな   亜紀    海

父の日の父が朝より雲隠れ      由季    不露海幹亜
猛烈に遮蔽してゆく青蔦よ      由季    朝幹亜四
体質は遺伝と思ふかたつむり     由季    海朝亜四
青鷺が性質の良くない声を出し    由季  
昼顔や父の監督するチーム      由季    露幹あ四

隠密の天井にゐる夏料理       四童    不独朝幹あ
梅雨の夜の経絡遮蔽施術かな     四童  
たくさんの体液を出す夏料理     四童    不露独幹
電柱といふ電柱にかたばみ質店    四童    不露
蛹にも似て山梔子の蕾かな      四童  

階段の隠れてゐたり青葉木菟     あんこ  
夕立に遮蔽されたる祇園かな     あんこ   直由亜
体無きやうに海月の浮いてをり    あんこ   朝
恋愛体質バナナの黒くなるまでは   あんこ   不独四
遠ざかる雨に羽毛のやはらかさ    あんこ  

以上。(集計:不孤)

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